奥が深い古本屋の楽しみ方

たまたま通りかかった書店の軒先で、古本祭りなどのイベントが行われていることがあります。そんな偶然に出会った時は「今日ここを通ってよかった」と思うものです。そしてラックを入念にチェックしながら買い物を楽しみます。兼ねてから読みたかった作品、これを逃したら出会うことがないであろう作品を選びレジへ運ぶのです。
さて先日読んだ随筆には、今まで知らなかったエピソードが書かれていました。古書店や街一丸で取り組む古本関連のイベントでは、書籍以外の商品が並ぶこともあるそうです。例えば何年も前に発行された観光地のパンフレット、日記、アルバム、チラシなども売られているそうで、購入する人も多いとのこと。このエピソードを読んだ時、幼い頃に遭遇した段ボールに詰められたもの達を思い出したのでした。それは旅先で購入したであろうしおりや絵はがき、観光地のパンフレットでした。箱にギッシリ詰まった品々を当時の私は興味深く手に取りながら吟味したのでした。なぜなら幼い私にとってまるで宝物のように思えたからです。後に旅行好きだった祖父が旅先で購入したのであろうと両親が話してくれたのですが、宝物が入った段ボール箱はどこにいってしまったか不明なのがとても残念です。この記憶を思い出した時、感慨深い情のようなものが湧いたものです。そして店先に並んだ古物達が、持っていた人々の記憶の中に大切に保存されていることを思うと不思議な気持ちになるのでした。