母と子の関係は別な存在だと思うことが多々あります。幼い頃、風邪を引いて熱を出した時などお母さんが看病してくれたお蔭で、安心してゆっくりと休むことが出来たことは今でも脳裏に焼き付いています。こうした過去の思い出からもその存在感の大きさを知る事ができます。また大人になってからも話しを聴いてもらいながら一緒に食事をして、パワーをもらうこともしばしばです。長年供に生きてきたためか感情の行き違いが発生することや、意見の違いから言い争いをしてしまうこともあるけれど、大きな懐で包んでくれる愛情は特別なものだと感じます。
私は母と子の関係をテーマにした小説や映画にも触れてきました。その中でも忘れられない1本の映画があります。それは中学生の頃、映画が大好きなクラスメートの男の子から借りたビデオテープでした。14歳の早熟な男子が教えてくれたこの作品はアメリカで制作されたもので波瀾万丈な人生を歩んだシングルマザーとその娘の姿を描いたものでした。お互いの考え方を上手く受け入れることができず、切ない別れを余儀なくされるとても切ない物語で今でもふと脳裏に浮かぶことがあるものです。特に娘のウィディングドレス姿を遠くから見守る母の姿が映し出されるエンディングは、胸の奥底に刻まれています。
どんなに固い絆で結ばれていても分かり合えないことはあるものです。悲しいことにもその絆が強いほど反発し合うものなのかもしれません。しかしながらこの世に生まれてきたきっかけを作ってくれた親に敬意を払い感謝する気持ちを持つことは、今の自分の存在を受け入れることにも繋がることを心得て起きたいと思うのです。こうした思いを持つことが出来るのは大人になった証拠なのかもしれません。