小さな幸せは植物観賞から

暮らしの中でささやかに感じる幸せはいいものです。決して大き過ぎず小さくて心温まる幸福感は心の奥底に染み渡るものだと感じるし、こうしたささやかな幸せを感じることが出来る状態こそが生きていく上でいいモチベーションだと思うものです。
私の友人に土いじりが趣味な女性がいます。彼女はいつでものんびりしていて尖った感情を見せることが滅多にありません。何か嫌なことがあった時は植物に触れることで気分転換できると教えてくれたのも彼女でした。この話を聞いてから、おうちにある植物に水をやること、のびのびと成長した緑の葉などを観察しているととても心が晴れやかになることに気付かされました。
友人の話も去る事ながら植物と言えば「これ」という一冊の本があります。それは草木や野菜、花を育てることを描いたエッセイです。クリエイティブな仕事をする著者らしい観点で描かれた世界観がとても面白く、また命あるものと供に暮らすことは日常にいいスパイスを与えてくれることを教えてくれます。
日々の会話やエッセイから暮らしの中にある「ささやかなもの」に目を向けるようになりました。そんな私がここ数年注目しているのは「コケ玉」です。お花屋さんやおしゃれな雑貨屋さんでも目にすることがあり、丸くて愛らしい苔をお部屋に置いて育ててみたいという衝動に駆られるのです。決して大輪の花を咲かせることはなくとも、青々とした苔を観ることで「生」を感じることができることは、暮らしの中にひっそりと存在する非日常だと感じるからです。