無償に旅をしたくなることがあります。今あるここから違うところへトリップして新しい人に出会い今まで触れた事のない生活を垣間見たいと思う時、その願望は一層高まってゆくものです。しかしながら気のみ気のままに実行できないのが現実でもあります。そんな時、私は旅についての随筆や小説などを読むことにしています。夜眠る前にそれらを手にすると、ワクワク感が湧き上がってきて翌日の朝を迎えることが楽しみになるし、何よりも異空間にいるような心持ちで眠りに着くことは格別だと感じています。
生活の一部となりつつある随筆の中でとびっきり心に残っている作品に、女性作家が書いたバリ島旅行記があります。学生時代にこの作家の小説を読んで以来、ファンになり年齢を重ねてゆくなかで何冊かの作品を手にしてきました。どれも日常にある機微が描かれており、登場人物達の生活感がしっとりと伝わってくる素敵な書籍達でした。先に挙げた本は特に印象的で、不思議と神秘が共存する島での時間を筆者と供に滞在しているような感覚を与えてくれる素敵な随筆です。読み進めてゆく中でバリの空気を私も肌で感じてみたいと思ったし、大好きな仲間達と旅をすることの楽しさを改めて知ることができたのでした。もしいつかバリ島を訪れることがあるのなら、お気に入りの随筆をバッグに入れて飛行機の中で読みたいと熱望しています。