愛を持って献身的に尽くすこと

「誰かのために生きることは出来ますか」と尋ねられたら即決で「はい」とは答えることは非常に難しいとことです。他者へ献身的に尽くすことで、自分の感情を犠牲にしてしまうこと、信じて全てを投げ打った果てに裏切られてしなうことなどがふと頭をよぎってしまうからです。なぜこんなことを考えたというと、以前読んだ推理小説がとても印象に残っているからです。学生時代からの仲間とそれを取り巻く人々が集まるパーティーで起こった殺人事件を通して浮き彫りになってゆく複雑な人間関係は、愛と憎悪が入り交じっていました。男女の愛や友情は純粋かつ一途な思いを持っていても、それが必ずしも良い形で他者へ伝わるわけではないことを知ったのでした。悲しくて切ない物語でしたが、ヒロインの女性の知的で明るく正直な生き方はこの物語の救いでもあり魅力でもありました。しかしながら彼女は病に侵されており、ラストで病院のベッドに横たわっているシーンは命の儚さをも感じたのでした。
人に好意を寄せること、愛することは時として歪んだ形を見せることがあると思います。感情を自分の心の中で上手に受け止められないことで嫉妬や嫉みに発展することもあるからです。献身的な思いを持つことも大切ですが、その前にまず自分が健全でよいモチベーションでいることが必要だと感じたのでした。