夕餉の父と娘を描いた詩

先日、久しぶりに詩を読む機会がありました。私はたまに無性に詩を読みたくなることがあり、そんな時には図書館で詩集を借りてその世界に耽ることにしています。その魅力は小説やエッセイとは一味も二味も違い、短い文章の中に著者の気持ちが込められているところだと感じています。また自由な目線で感情を表現しているところに親近感が湧き、お気に入りの作品は何度も繰り返して読むこともしばしばです。
今手元にある作品は、父と娘の夕餉の時間のことを書いたものです。4歳位の可愛いらしい娘と料理をする父のやり取りは、ほのぼのとした中にあるちょっとした棘が書かれています。それはイライや小言であり、二人の心に溜まったわだかまりをぶつけ合います。しかしながらご飯を食べる時にはそんな気持ちは落ち着き、のほほんとした時間が流れるのです。どこにでもある家族の姿と人の機微がしっかりと描かれているところが、この詩の好きなところです。
誰しもがいつだって穏やかに生きてゆける訳ではありません。そのためちょっと溜まってしまった苦い気持ちを吐き出すことは大切なことですし、それを言い合える相手がいることもまた生きやすくするのではないかと感じます。そこに愛情が籠ったご飯があれば、もう何も言うことはないのかもしれません。極々当たり前の日常を描いたこの作品は、まさに絶品という言葉がぴったりだと感じました。