旅先の不運な出会いがもたらしたこと

「旅に出ること」は新しい発見をすることだと感じています。そのため失恋した後や今置かれている環境をリフレッシュしたい時には非常に効果的なのではないでしょうか。昨日読んだ短編小説を通して、それを再確認したのでした。この作品に登場する女性は彼との別居を解消するか否か悩んでいました。その答えを出すべくギリシャへ旅に出ます。欧米人達がバカンスを楽しむために訪れる島でもあるそうで日本人に巡り会うことは少ないようですが、不運にもケンカばかりしている母娘と出会い一緒に食事をすることになるのでした。言い争いばかりする親子と供にテーブルを囲み食事することは、苦痛以外の何物でもありません。ましてや再スタートを目論む旅でそんな母娘との遭遇はできれば避けて通りたいものです。また行く先々で彼女達に出会うのですから、これはあまりいい動向ではないと感じました。付きまとう娘に嫌気が差した主人公は「供に行動したくない」意向を伝えますが、またもや遭遇してしまい一緒にボートに乗ることになるのでした。しかし何をしていてもぶつかり合う親子の姿を見ていて、自分が彼氏との関係から逃げていることを気付かされます。親子でも分かり合うことが出来ないことは多々あるのに、彼とケンカをすることも向き合うこともせずにいたと悟るのでした。
恐らく日本でこの親子に出会ったとしても、共に食事をして行動をすることはなかったと思います。主人公がその後どうしたかまでは描かれていませんが、別れるにせよやり直すにせよあの母娘との遭遇が大きく影響したと思います。当初は不運に思えましたが、これもまた何かの縁だったのかもしれないと感じたのでした。