赤いリボンのカチューシャと素敵な装丁の本

化粧品が並ぶ机の上に赤いリボンが施されたカチューシャが置いてあります。大分前に購入してずっとそこにあるカチューシャを見ていると、以前参加した仮装パーティーを思い出します。秋の訪れを知らせるような涼しい風が吹く夜に、都会のビルの屋上で開かれたバーベキューパーティーに参加した時に身に着けからです。仮装のテーマは映画の主人公にもなった13歳の魔女でした。黒いワンピースと赤いリボンの出で立ちで空を飛んでいる姿は、幼い頃に映画で目にして以来、私の心に残り続けています。そのためリボンのカチューシャを雑貨屋さんで見つけた時、即決で「あの映画の主人公になろう」と決めたのでした。
仮装パーティーの当日、思いも寄らない出会いがありました。それは家の本棚からこの女の子が主人公の本が見つかったのです。オレンジ色と黄色と濃いブルーの星空が描かれている装丁に書かれた女の子と黒猫の絵は可愛らしくて美しさを感じたものです。そしていつか読もうと心に決めたのでした。
あれから時が経ち、未だにページを開くことなく大切に保管されています。表紙が見えるように立て掛けられているためか、装丁を眺めているだけで心が満たされているからかもしれません。そしていつの日か赤いカチューシャと美しい本の表紙は私の部屋に無くてはならないアイテムとなっているのでした。