窓を伝う雨の見ながら

雨がしとしと降る日は憂鬱な気持ちになり、外に出たくないと思うことがあります。そんな感情とは裏腹に神秘を感じることもあるものです。以前女性ミュージシャンのインタビューを読んだ時のことです。その記事では透明感溢れる新曲が出来るまでの経緯を語っていました。夜に見たタクシーの窓を伝う水滴が美しくかったことがきっかけとなり新しい曲が生まれたとのことでした。この記事を読んでから私も電車に乗っている時に窓を伝う雨を気に掛けるようになったものです。ガラスを伝いながら一定方向に動いてゆき、辺りを照らす光と供に数秒で変化を繰り返してゆく姿は美しくもあり切なくもあります。そしてその光景はいつしか心を落ち着かせてくれるものとなりました。こうしたことから雨をテーマにした音楽や小説が多く誕生していることも納得できます。ちなみに女性アーティストが歌った曲は切ないというよりもすがすがしさと心地良さをもたらしてくれます。そのため今まで抱いていた悲しさや憂いといったものから美しさへとイメージは変わってゆきました。
もし雨の日に窓の外をじっくりと眺める機会があったなら、一休憩してその光景に心を馳せてみるのもよいかもしれません。この一休みは乾き気味の心にも潤いを与えてくれそうです。