小さな図書室

ちょっとした手続きをしに役所に出掛けた帰りのこと。その近くに公民館があって、中には小さな図書室があるんですね。子供の頃はしょっちゅう通っていたのですが、大人になるにつれて、もっと大きな図書館へと移り気してしまっていました。ちょうどヒマだったこともあって、○年ぶりにその図書室を訪れてみることにしました。
びっくりしたのが、その図書室の匂いが昔とほとんど変わっていなかったこと。入室した途端、思い出がぶわぁぁっと蘇ってきて、胸が熱くなりました。匂いというのは記憶に強く結びつくものなのだそうです。「さつきまつ花橘の香をかげば昔の人の袖の香ぞする」――なんて有名な和歌がありますが、さもありなむ、ともっともらしく頷いてみたくなる感じ。
さすがに蔵書類などは昔のままとはいかないようでしたが、奥の書棚に昔の愛読書が眠っているのを発見してホッコリ。他の利用者(ほとんど親子連れでした)から好奇の視線を時々もらいながら、かつての愛読書だった小説を立ち読みしてきました。「そうそう、この部分が好きだったのよね」なんて思い返してニヤニヤ。
何だか自分の原点に立ち返ったようで楽しかったです。いつまでもなくならないでほしいものですね。