お部屋の模様替えのお駄賃はユニークすぎる単行本

先日友達から頂いた小説を読みました。それはお部屋の模様替えを機に不要なものを整理するお手伝いしたお礼として何冊かの単行本を頂いた中の一冊です。部屋の本棚に入れておきつつもなかなか読む機会がなく、あれから半年ほど過ぎてからページを開いたのでした。大の短編小説好きでもあり、彼のコレクションする短編集は面白くかつ濃厚なストーリーが胸に残るものが多いです。そのため彼のレコメンドは、本を選ぶ時にとても役立っているのです。しかしながら先日頂いた単行本は短編ではなく長編だったことに驚きつつも、ユニークで斬新な物語は一度ページを開いたら最後、ノンストップで完読してしたのでした。この作品には人間の他に幽霊や素敵なデザインのしゃべる眼鏡も登場します。どのキャラクターも物語の重要なキャラクターのため、とても不思議な世界に迷い込んだような錯覚を起こさせてくれるのも魅力だと思いました。特に眼鏡は夜になると人間の姿に変化することが出来て、紳士でお洒落で涙もろい白人男性として君臨するところは、何ともあっぱれでした。また幽霊の少年は消え入りそうな程に影が薄いのですが、ラストシーンに主人公と色濃く関わるためストーリーには無くてはならない存在になっていました。完読し終えた時には、彼らと別れることが寂しく思ったほどに心をギュッと掴まれたこの小説は私のお気に入りとして棚にしまってあるのでした。

雨の日の憂鬱を改心した所作についての本

こないだ昼間に映画を観に出掛けました。朝から曇天で日も差さず午後には雨が降ってきました。大きな買い物をしたこともあり降りしきる雨の中大きめの黒いバッグと紙袋を持ち傘も上手くさすことができず、とてもイライラしていました。また服も持ち物も濡れてしまい、かなり憂鬱な気持ちになり今にも泣きそうな気分だったことを覚えています。このままもう歩き続けることは出来ないと悟り映画のチケットを購入してから、上映時間までコーヒーを飲んで過ごすことにしました。
大通りの2階に店舗があるせいか明るいライトに照らされた店内は人も少なく静かでした。私は椅子に座りホッとした気持ちでバッグから本を取り出しました。それはお坊さんが書いた所作についての本でした。ページを開くと禅の言葉を例にあげながら美しい佇まいの在り方、呼吸や姿勢を整えることが書いてありました。そしてふとこの日の自分の行動や立ち振舞いを振り返り、反省の念に浸ったのでした。なぜなら天候に左右され気持ちも沈みがちになり心が荒んでいたからでした。しかも姿勢は猫背で美しさとはかけ離れた姿に愕然としたのでした。喫茶店でこの書籍を読み一息いれた頃には、少し気持ちも落ち着いて心持ちか爽やかになっていました。
「憂鬱な時でも平常心」最近は所作の本から得たことを教訓として、この言葉を胸に過ごしています。

美しい花束からイマジネーションを膨らませて

先日ふと立ち寄ったフラワーショップでスーツ姿の男性が花束を購入しているのを目にしました。その姿を見た時に会社で働く仲間のためかそれとも奥さんのためかと想像が膨らんだものです。そんな気持ちになったのは、愛らしくてとても女性らしい花束を持っていたからかもしれません。ピンクを基調としたバラやカーネーションと緑色の葉、横にちょこんと飾られている小さなリンゴはとても斬新なアレンジメントだったのでした。そして貰う人の雰囲気や容姿などのイマジネーションが膨らみ、ちょっとした楽しい時間を一人で味わったのでした。
以前携帯ショップに立ち寄った時に置いてあった雑誌をめくっていたところ、フラワーアレンジメントについての記事が載っていました。プロが作る艶やかな作品は写真からも植物の生命力のような迫力を感じることができました。また大きな花瓶に生けられた赤を基調にしたダイナミックな作品からは色っぽさやセクシーさを連想させられたのでした。
あのフラワーショップで目にした花束も雑誌でみたアレンジメントの作品に通じるものがあったように思います。それはどちらも道ですれ違い様に思わず見惚れてしまうくらい綺麗な女性を連想させるような感じかもしれません。フラワーアレンジメントの世界の奥深さを思いながら、想像力を膨らます楽しみもまた格別だと思ったのでした。

思いがけないクッキー作り

世代を超えた女4人でお菓子作りをしました。友人宅で誰かがふと「クッキーを焼こう」と提案したことが発端となり、午後のおやつが決まったのでした。そこにいたのは30代の友達、彼女の愛娘、そして友達のお母さんでした。4人で時間を過ごしていたら子供の頃の母との思い出が頭をよぎり、懐かしくなったものです。そのため思いも寄らないスイーツ作りは、楽しくてワクワクしながらも少しセンチメンタルなものになりました。
材料は小麦粉、バター、卵、砂糖というとてもシンプルなもので、こだわりはオーガニックの三温糖を少な目にしたことでしょうか。そんな少しの心遣いが良かったのか焼き上がったクッキーは優しい甘さで上品なお味となりました。また作っている時はワイワイと他愛もない話をしながら、型抜きを使い一枚ずつ丁寧に形をとりトッピングを乗せました。トッピングは友達の愛娘が手掛けてくれて、ポップで華やかなものが出来たことに私達4人は大変満足でした。
この日一番印象に残っているのは、お母さんが棚から出してきたレシピ集でした。使い込まれていて、ところどころに小麦粉がついているところから、昔からお菓子作りをよくしていたことを知ることができました。そのためかこの親子はとても手際がよくて、立ち振る舞いを見ているだけで気持ち良さを感じたのでした。何よりも雨の午後のささやかな時間は温かくて素敵な思い出となりました。

表紙に魅了された文庫本達

先日図書館へ行きました。この日は読み物を切らしており、活字中毒のような症状に駆られていました。そのため友達との待ち合わせ前に立ち寄ることにしたのでした。いつもは時間を掛けてゆっくりと本選びをするのですが、その後の予定が頭にあったため慌ただしく以前から読みたいと思っていた女性作家2人の作品を借りることにしました。そして普段は持ち運びに便利な単行本を好んで選ぶことが多いのですが、この時は文庫本を持って貸出カウンターへ足を進めたのでした。
翌日借りた作品を手に、表紙を眺めてみました。一冊は白地に薄くて赤い絵柄が刻まれたシンプルでいてレトロさを感じさせるもの、またもう一冊はヤギのようなバンビのような白くて美しい動物の人形が表紙いっぱいに描かれていました。ここ最近ハードカバーの書籍を手にしていなかったためか、それらはとても新鮮でした。どちらも分厚くてどっしりしていて、たくさんの人々に読まれてきたことを伺い知ることができる威厳のようなものがありました。また個性豊かで美しい装丁からは芸術性を強く感じたのでした。あの時感じたインスピレーションを胸に、これからはハードカバーの本も積極的に読もうと胸に誓ったのでした。

お酒を片手にブルースを聴いた夜

家でお酒を飲みながら音楽を堪能しました。ロックやシャンソン、ブルースなど家中にあるCDを引っ張り出してプレイヤーに入れて、美味しいワインと素敵な音楽に酔いしれました。タンスの中で眠っていたCDを掘り起こしていると、忘れていた過去のことがふと頭をよぎることもしばしばで、楽しいことや悲しいことは時間が経つことで当時とは全く変わった形で記憶の奥にあり続けるのだと感じたものです。
押入れから発掘した作品の中でも、ブルースを歌う女性シンガーのCDは格別な過去の思い出達を蘇らせてくれました。今は亡きこのシンガーのライブを観るためによく行ったライブハウスやそこでの空気やたばこの匂い、お酒の味などどれも懐かしくて素敵なもの達です。またブルースを肌で感じることが出来た有意義な経験でもあったことは私のよき財産でもあるのです。
そしてもう一つ忘れがたいエピソードは、以前からファンだった女性作家もまた今は亡きこのブルースシンガーの世界を好んでいることを知ったことでした。当時女性作家とブルースシンガーの佇まいがどこか似ていると感じ、私もお二人のような大人のいい女になりたいと日々精進していたことは少々恥ずかしくも微笑ましい思い出でもあります。
作品の世界に浸ることで、初心を思い出させてくれることに感謝しつつ自分が生きてきた道に歴史があることを知った夜でした。

愛を持って献身的に尽くすこと

「誰かのために生きることは出来ますか」と尋ねられたら即決で「はい」とは答えることは非常に難しいとことです。他者へ献身的に尽くすことで、自分の感情を犠牲にしてしまうこと、信じて全てを投げ打った果てに裏切られてしなうことなどがふと頭をよぎってしまうからです。なぜこんなことを考えたというと、以前読んだ推理小説がとても印象に残っているからです。学生時代からの仲間とそれを取り巻く人々が集まるパーティーで起こった殺人事件を通して浮き彫りになってゆく複雑な人間関係は、愛と憎悪が入り交じっていました。男女の愛や友情は純粋かつ一途な思いを持っていても、それが必ずしも良い形で他者へ伝わるわけではないことを知ったのでした。悲しくて切ない物語でしたが、ヒロインの女性の知的で明るく正直な生き方はこの物語の救いでもあり魅力でもありました。しかしながら彼女は病に侵されており、ラストで病院のベッドに横たわっているシーンは命の儚さをも感じたのでした。
人に好意を寄せること、愛することは時として歪んだ形を見せることがあると思います。感情を自分の心の中で上手に受け止められないことで嫉妬や嫉みに発展することもあるからです。献身的な思いを持つことも大切ですが、その前にまず自分が健全でよいモチベーションでいることが必要だと感じたのでした。

食べることに思いを馳せた昼下がり

休日の昼下がりのことです。洋服を収納しているクローゼットの中から一冊の本を見つけました。ハンガーに掛かった洋服の下に立てかけられていた幾つかの本の中から手にとったのは、「食事」について書かれた作品でした。昔よく読んでいたライフスタイルの雑誌の人気コーナーをまとめたもので、ページをめくっていたら懐かしさを感じたものです。
この書籍はクリエイターや主婦、OL達の日々の食事を写真と短い文章で綴ったもので、「人の数だけご飯の楽しみ方がある」と思わせてくれる作品でもあります。住む場所や仕事によってライフスタイルは異なること、それと同様に「食べること」もまた色濃く価値観が反映されていると思いました。
特に印象に残っているのは海のある町で漁師を営む家族の夕飯でした。新鮮な刺身がお皿にたっぷりと盛られた写真はとてもインパクトがあり、自然の恵みがもたらす素晴らしさを感慨深く感じました。そしてこうした一枚一枚の写真から「自分にとって食事とは何なのか」という漠然とした疑問がふと頭に浮かんだのでした。考えてみたところ、私にとってかけがえのないことであり美味しいものを貪欲に楽しむことは生き甲斐でもあるという答えがでました。
穏やかな休日の午後に手にした本は、よき気付きを与えてくれました。またその日の夕飯はとびっきりの献立になったことは言うまでもありません。

自然と大都市が共存する国で生きること

自然には計り知れない力があり、それを目の前に人の無力さを知ることがあります。その一方で木々や森、海の美しさに心奪われ神秘を感じることも数多く経験してきたものです。
私が先日観た映画には、日本の美しい自然描写が存分に描かれていました。またその一方で都心の高層ビル群や何本もの線路を走る電車、夜景が描かれており人工的な街の美しさにも強く魅了されたのでした。この対照的な暮らしがある国で生きていることを愛おしく感じた時間でもありました。
映画や書籍などを通して、大都市と自然の恵みが色濃く残る農村が共存している国で生きていることを再認識することがあります。また災害などが起きる時に改めてその脅威を知り、私の心にあるおごりに気付かされることもありました。人類は知恵を使い文明を開化させて便利な暮らしを築いてきましたが、昔から流れている摂理があるからこそこうして生きてこられたことを思います。先日観た映画は「昔からあるものや自然との共存」というテーマを与えてくれたのでした。
記憶や思い出は時間と供に風化されることも多く、時が経ったら「映画から感じたあの時の気持ち」忘れてしまうものかもしれません。でも本当に心に残ったことは思考を変えながらもいつまでも胸の奥にあり続けると思います。こうした大切なことを忘れずに生きてゆけたらいいと感じています。

青春時代は輝き続ける

「青春」という言葉に過剰に反応してしまう自分がいます。ここ最近10代が主人公の映画をよく観ているからかもしれません。遠い昔となってしまったあの頃のことは上手に思い出すことができませんが、初々しくて清々しい作品に触れていると懐かしさと供に今の生活をもっと輝かせたいと考えるようになります。「あの頃色々なことがあったけれど未来は限りなく続いていた」と思うのです。
お気に入りの映画に小説家を目指す中学生の女の子が主人公の作品があります。好きな男の子が夢を実現させるため海外へ旅立ったことから彼女も書きたかった小説の執筆を始めます。受験勉強はひとまず置いておいて、とにかくひたすら原稿用紙と向かい合う主人公の姿はいい表情をしていて素敵でした。そして小説を書き終えた後に見た真冬の空に太陽が昇る光景は恐らく生涯忘れることのない宝物になったと感じます。この作品のエンディングロールを観ながら「どうか小説を書き続けて欲しい」と心から願ったのでした。
年を重ねると自分に嘘をつくことが上手になるものです。なぜならばそのほうが楽に生きてゆけるからです。でも青春を舞台にした作品を目のあたりにするとそんな自分にカツを入れたくなります。「やりたかったこと」「諦めてしまったこと」が心に浮かんだ時、ただ何も考えずがむしゃらだった10代の勢いをまた再燃させてもよいのではないかと考えるのでした。