美しい花束からイマジネーションを膨らませて

先日ふと立ち寄ったフラワーショップでスーツ姿の男性が花束を購入しているのを目にしました。その姿を見た時に会社で働く仲間のためかそれとも奥さんのためかと想像が膨らんだものです。そんな気持ちになったのは、愛らしくてとても女性らしい花束を持っていたからかもしれません。ピンクを基調としたバラやカーネーションと緑色の葉、横にちょこんと飾られている小さなリンゴはとても斬新なアレンジメントだったのでした。そして貰う人の雰囲気や容姿などのイマジネーションが膨らみ、ちょっとした楽しい時間を一人で味わったのでした。
以前携帯ショップに立ち寄った時に置いてあった雑誌をめくっていたところ、フラワーアレンジメントについての記事が載っていました。プロが作る艶やかな作品は写真からも植物の生命力のような迫力を感じることができました。また大きな花瓶に生けられた赤を基調にしたダイナミックな作品からは色っぽさやセクシーさを連想させられたのでした。
あのフラワーショップで目にした花束も雑誌でみたアレンジメントの作品に通じるものがあったように思います。それはどちらも道ですれ違い様に思わず見惚れてしまうくらい綺麗な女性を連想させるような感じかもしれません。フラワーアレンジメントの世界の奥深さを思いながら、想像力を膨らます楽しみもまた格別だと思ったのでした。

思いがけないクッキー作り

世代を超えた女4人でお菓子作りをしました。友人宅で誰かがふと「クッキーを焼こう」と提案したことが発端となり、午後のおやつが決まったのでした。そこにいたのは30代の友達、彼女の愛娘、そして友達のお母さんでした。4人で時間を過ごしていたら子供の頃の母との思い出が頭をよぎり、懐かしくなったものです。そのため思いも寄らないスイーツ作りは、楽しくてワクワクしながらも少しセンチメンタルなものになりました。
材料は小麦粉、バター、卵、砂糖というとてもシンプルなもので、こだわりはオーガニックの三温糖を少な目にしたことでしょうか。そんな少しの心遣いが良かったのか焼き上がったクッキーは優しい甘さで上品なお味となりました。また作っている時はワイワイと他愛もない話をしながら、型抜きを使い一枚ずつ丁寧に形をとりトッピングを乗せました。トッピングは友達の愛娘が手掛けてくれて、ポップで華やかなものが出来たことに私達4人は大変満足でした。
この日一番印象に残っているのは、お母さんが棚から出してきたレシピ集でした。使い込まれていて、ところどころに小麦粉がついているところから、昔からお菓子作りをよくしていたことを知ることができました。そのためかこの親子はとても手際がよくて、立ち振る舞いを見ているだけで気持ち良さを感じたのでした。何よりも雨の午後のささやかな時間は温かくて素敵な思い出となりました。

表紙に魅了された文庫本達

先日図書館へ行きました。この日は読み物を切らしており、活字中毒のような症状に駆られていました。そのため友達との待ち合わせ前に立ち寄ることにしたのでした。いつもは時間を掛けてゆっくりと本選びをするのですが、その後の予定が頭にあったため慌ただしく以前から読みたいと思っていた女性作家2人の作品を借りることにしました。そして普段は持ち運びに便利な単行本を好んで選ぶことが多いのですが、この時は文庫本を持って貸出カウンターへ足を進めたのでした。
翌日借りた作品を手に、表紙を眺めてみました。一冊は白地に薄くて赤い絵柄が刻まれたシンプルでいてレトロさを感じさせるもの、またもう一冊はヤギのようなバンビのような白くて美しい動物の人形が表紙いっぱいに描かれていました。ここ最近ハードカバーの書籍を手にしていなかったためか、それらはとても新鮮でした。どちらも分厚くてどっしりしていて、たくさんの人々に読まれてきたことを伺い知ることができる威厳のようなものがありました。また個性豊かで美しい装丁からは芸術性を強く感じたのでした。あの時感じたインスピレーションを胸に、これからはハードカバーの本も積極的に読もうと胸に誓ったのでした。

お酒を片手にブルースを聴いた夜

家でお酒を飲みながら音楽を堪能しました。ロックやシャンソン、ブルースなど家中にあるCDを引っ張り出してプレイヤーに入れて、美味しいワインと素敵な音楽に酔いしれました。タンスの中で眠っていたCDを掘り起こしていると、忘れていた過去のことがふと頭をよぎることもしばしばで、楽しいことや悲しいことは時間が経つことで当時とは全く変わった形で記憶の奥にあり続けるのだと感じたものです。
押入れから発掘した作品の中でも、ブルースを歌う女性シンガーのCDは格別な過去の思い出達を蘇らせてくれました。今は亡きこのシンガーのライブを観るためによく行ったライブハウスやそこでの空気やたばこの匂い、お酒の味などどれも懐かしくて素敵なもの達です。またブルースを肌で感じることが出来た有意義な経験でもあったことは私のよき財産でもあるのです。
そしてもう一つ忘れがたいエピソードは、以前からファンだった女性作家もまた今は亡きこのブルースシンガーの世界を好んでいることを知ったことでした。当時女性作家とブルースシンガーの佇まいがどこか似ていると感じ、私もお二人のような大人のいい女になりたいと日々精進していたことは少々恥ずかしくも微笑ましい思い出でもあります。
作品の世界に浸ることで、初心を思い出させてくれることに感謝しつつ自分が生きてきた道に歴史があることを知った夜でした。

愛を持って献身的に尽くすこと

「誰かのために生きることは出来ますか」と尋ねられたら即決で「はい」とは答えることは非常に難しいとことです。他者へ献身的に尽くすことで、自分の感情を犠牲にしてしまうこと、信じて全てを投げ打った果てに裏切られてしなうことなどがふと頭をよぎってしまうからです。なぜこんなことを考えたというと、以前読んだ推理小説がとても印象に残っているからです。学生時代からの仲間とそれを取り巻く人々が集まるパーティーで起こった殺人事件を通して浮き彫りになってゆく複雑な人間関係は、愛と憎悪が入り交じっていました。男女の愛や友情は純粋かつ一途な思いを持っていても、それが必ずしも良い形で他者へ伝わるわけではないことを知ったのでした。悲しくて切ない物語でしたが、ヒロインの女性の知的で明るく正直な生き方はこの物語の救いでもあり魅力でもありました。しかしながら彼女は病に侵されており、ラストで病院のベッドに横たわっているシーンは命の儚さをも感じたのでした。
人に好意を寄せること、愛することは時として歪んだ形を見せることがあると思います。感情を自分の心の中で上手に受け止められないことで嫉妬や嫉みに発展することもあるからです。献身的な思いを持つことも大切ですが、その前にまず自分が健全でよいモチベーションでいることが必要だと感じたのでした。

食べることに思いを馳せた昼下がり

休日の昼下がりのことです。洋服を収納しているクローゼットの中から一冊の本を見つけました。ハンガーに掛かった洋服の下に立てかけられていた幾つかの本の中から手にとったのは、「食事」について書かれた作品でした。昔よく読んでいたライフスタイルの雑誌の人気コーナーをまとめたもので、ページをめくっていたら懐かしさを感じたものです。
この書籍はクリエイターや主婦、OL達の日々の食事を写真と短い文章で綴ったもので、「人の数だけご飯の楽しみ方がある」と思わせてくれる作品でもあります。住む場所や仕事によってライフスタイルは異なること、それと同様に「食べること」もまた色濃く価値観が反映されていると思いました。
特に印象に残っているのは海のある町で漁師を営む家族の夕飯でした。新鮮な刺身がお皿にたっぷりと盛られた写真はとてもインパクトがあり、自然の恵みがもたらす素晴らしさを感慨深く感じました。そしてこうした一枚一枚の写真から「自分にとって食事とは何なのか」という漠然とした疑問がふと頭に浮かんだのでした。考えてみたところ、私にとってかけがえのないことであり美味しいものを貪欲に楽しむことは生き甲斐でもあるという答えがでました。
穏やかな休日の午後に手にした本は、よき気付きを与えてくれました。またその日の夕飯はとびっきりの献立になったことは言うまでもありません。

自然と大都市が共存する国で生きること

自然には計り知れない力があり、それを目の前に人の無力さを知ることがあります。その一方で木々や森、海の美しさに心奪われ神秘を感じることも数多く経験してきたものです。
私が先日観た映画には、日本の美しい自然描写が存分に描かれていました。またその一方で都心の高層ビル群や何本もの線路を走る電車、夜景が描かれており人工的な街の美しさにも強く魅了されたのでした。この対照的な暮らしがある国で生きていることを愛おしく感じた時間でもありました。
映画や書籍などを通して、大都市と自然の恵みが色濃く残る農村が共存している国で生きていることを再認識することがあります。また災害などが起きる時に改めてその脅威を知り、私の心にあるおごりに気付かされることもありました。人類は知恵を使い文明を開化させて便利な暮らしを築いてきましたが、昔から流れている摂理があるからこそこうして生きてこられたことを思います。先日観た映画は「昔からあるものや自然との共存」というテーマを与えてくれたのでした。
記憶や思い出は時間と供に風化されることも多く、時が経ったら「映画から感じたあの時の気持ち」忘れてしまうものかもしれません。でも本当に心に残ったことは思考を変えながらもいつまでも胸の奥にあり続けると思います。こうした大切なことを忘れずに生きてゆけたらいいと感じています。

青春時代は輝き続ける

「青春」という言葉に過剰に反応してしまう自分がいます。ここ最近10代が主人公の映画をよく観ているからかもしれません。遠い昔となってしまったあの頃のことは上手に思い出すことができませんが、初々しくて清々しい作品に触れていると懐かしさと供に今の生活をもっと輝かせたいと考えるようになります。「あの頃色々なことがあったけれど未来は限りなく続いていた」と思うのです。
お気に入りの映画に小説家を目指す中学生の女の子が主人公の作品があります。好きな男の子が夢を実現させるため海外へ旅立ったことから彼女も書きたかった小説の執筆を始めます。受験勉強はひとまず置いておいて、とにかくひたすら原稿用紙と向かい合う主人公の姿はいい表情をしていて素敵でした。そして小説を書き終えた後に見た真冬の空に太陽が昇る光景は恐らく生涯忘れることのない宝物になったと感じます。この作品のエンディングロールを観ながら「どうか小説を書き続けて欲しい」と心から願ったのでした。
年を重ねると自分に嘘をつくことが上手になるものです。なぜならばそのほうが楽に生きてゆけるからです。でも青春を舞台にした作品を目のあたりにするとそんな自分にカツを入れたくなります。「やりたかったこと」「諦めてしまったこと」が心に浮かんだ時、ただ何も考えずがむしゃらだった10代の勢いをまた再燃させてもよいのではないかと考えるのでした。

思わず含み笑いを連発したシュールでいてコミカルな映画

小説が原作の傑作とも言える映画を観ました。男と女、お金といったこの世にある難題をテーマにしたこの作品は、大人向けコメディとでも申しましょうか。しかしあまりにもシュールなため大笑いをすることは出来ず、思わず含み笑いをしてしまうという表現が合うのではないかと感じました。
アクが効いた主人公の女性は、結婚相談所の社長と組み、出会った男性から多額の金額や不動産を巻き上げてきました。また頭の回転がよいため、男性の心を自分のものにすることに非常に長けています。特に泣き落とす演技などは天下一品です。私もこんなに上手に達振る舞うことが出来たら、どんなに楽に生きることができるだろうと思ったほどです。でも人生はいつだって上手くゆく訳ではありません。歯車が狂うことでまるでループのように転げてゆく後半のシーンは、何があっても悪事を働いてはいけないという当たり前のことを突きつけられます。そしてお金とは一体何か、真実の愛とはこの世にあるのだろうかとい今目の前にあることを疑うような感情にもなったのでした。
この映画の原作となった小説も非常に面白いそうで、是非とも読んでみたいと思っています。個性的で憎めないキャラクター達がどんな風に描かれているのかを考えただけでもワクワクするし、映画とはまた違う世界を垣間見ることが待ち遠しいです。

若者達の群像劇から考える都会

都会で暮らす若者達がルームシェアをする小説を大分前に読みました。サラリーマン、ニート、学生など職業も年齢もバラバラな男女が織りなす日常を描いたこの小説は、まだ若かった私の記憶に鮮明に刻まれたのでした。初めて読んでから十年位が経った時、もう一度読み直したことを覚えています。それ程までに心惹かれたのは、恐らく登場人物達がみな普通にみえて普通ではなかったからかもしれません。それぞれが心の奥に闇や悩みなどを抱えており、共に暮らす住人にも見せることはないしそれを共有したいという願望もないにも関わらず、お互い気付いてしまっているところが不気味でもありました。しかしながらそれらは私達の日常にもある普遍的なことだと感じたのでした。
ふとこの小説を思い出した理由は、私の友達の話を聞いたことがきっかけでした。都会で暮らしている彼らの心には、以前読んだ小説の登場人物達と同様に様々な感情が渦巻いているように思えたからです。ある女性は「お金とパワーが必要でいつまでこうしてやってゆけるか不安になる」と言います。また手に職を持つ男性は「好きなことをやりながら何とでも生きてゆける」と語ってくれました。どちらの意見も納得できるし、物が渦巻き便利で夢を叶える場であるからこそパワーが必要だと思ったのでした。物語に登場する彼らは人間味というよりもクールさを感じたものです。まだ若かった私にはそんな姿が都会的でカッコよいと思えたのでした。しかしながらやはりカッコイイだけでは生きてゆけないところも描かれていて、それは今を生きる私達にも重なることが山ほどあることに気付いたのでした。